隠れ里・犬目宿へ 2013年5月26日
つげ義春が甲斐路を旅した折、迷い込んでしまった夢のような宿場町が犬目(いぬめ)宿。
1969年に上野原から鶴川の支流・仲間川を車でさかのぼって、寂しい山中に分け入ったそうな。
陽の落ちる直前、犬目宿とおぼしきあたりで、へんぴな山中でも質素ながら活き活きと暮らしている人びとを目撃する。
一瞬で通り過ぎてしまったが、朔太郎の「猫町」を好んで読んでいたつげは強い既視感に襲われる。
白昼夢とも幻想ともつかず桃源郷に迷い込んでしまった僥倖。そんな繊細な心持ちが「貧困旅行記」の「猫町紀行」に綴られている。
“猫町”を発見したつげは数年後に再訪をもくろむが、道に迷って結局果たせなかった。
1970年に大火事があって、宿のゆかしい景観はすでに失われてしまったという。

私にとっては名前を聞いていながら、ずっと行きそびれていた犬目宿。猿橋から国道20号で鳥沢へ、そこから少しで旧道=県道30号に入る。
県道30号への入り口はモルタル舗装、一瞬15%はあるかも。中央道をくぐると10%越えの急登があたりまえのように続く。
地図を見ると、道は等高線に直角に挑んでいる。これって生活道路というよりは峠道。
家から松姫峠を越えてすでに110kmを漕いできた脚にはキツすぎる。隠れ里に至るにはこれくらいの試練が必要なのだろうか……

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さらに(坂は)続く……


by masashiw2 | 2013-05-29 22:32 | 奇譚 | Comments(0)
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