手前味噌・今に甦る昭和5年の小エロワールド「エロエロ草紙」
最近の装幀の仕事から──。

酒井 潔 著「エロエロ草紙」【完全カラー復刻版】

B5正寸 / 80ページ / 並製
定価:2500円+税 ISBN978-4-7791-1905-7 C0095 2013年06月20日発売 彩流社

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80年前の昭和5年に発行を企図されながら、発禁処分になった幻のエログロ・アンソロジー、
モノクロであるにもかかわらず、デジタル化資料アクセス数第一位の“国会図書館の至宝”「エロエロ草紙」。
複写機材一式をかついで国会図書館におもむいたのは4月19日の午後だった。
あらかじめモノクロPDFで内容を確認していたが、一冊しか存在しないと言われる現物は予想に反して鮮やかな色をしていた。
各ページをの印象を記憶に刻みながら、黙々と複写した。
復刻版の制作は、複写した画像の編集がメインとなる。発禁で日の目を見ることの出来なかった珍書を何とか鮮やかに甦らせたい。



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表紙はおそらくは金インクを使用していたのだろう、真鍮の金属粉が酸化して、全体に黒ずんだ印象だった。
書店の平台でその存在を主張するには、シミや折れを目立たなくしたり、いますこしお化粧直しが必要と考えた。
画像編集はPhotoshop。タイトルは右端が欠けていたので、描き起こして、鮮やかに。タイトル部分だけでも多数の調整レイヤーを使っている



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帯を外したところ。それにしても奇怪な判じ絵。北斎、国芳、アルチンボルドの中東版???





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オビを含めてカバーまわりの制作はIllustrator。筑紫ゴシックと筑紫オールド明朝の混植で活版見出しの味を醸す。
タイトルはベジェの描き文字。ラフ効果を入れて仕上げた




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本文デザインはInDesign。ご覧の通り、カラーページがたんまり。
本文も鮮やかとはいえ、ベコベコのシミシミ。糸かがり製本ももはや限界。撮影した画像データは一律のカーブで何とかなるものではなく、
それぞれに細かい手を加えないといけないシロモノ。Photoshopを駆使して、水平・垂直を整え、シミを抜き、レタッチ。
ようやくデジタル・リマスターって感じになってきたのは5月半ばを過ぎた頃




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これが小エロなギミック扉。次回から、本文をご紹介しませう!!

↓原書の表紙画像を追加しました。この画像を上記のように修正していったわけです






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原書は製本が崩壊しかけており、背の部分が製本テープで補強され、元の状態が隠れて見えなかった。
タイトルも整理票が貼られて右端が欠けていた。隠れて見えない部分は描き起こした。
検閲官のメモ書きもうまく取り除くことができた


by masashiw2 | 2013-06-18 22:49 | かわうその祭 | Comments(4)
Commented by nanahachiya at 2013-06-19 10:29
はじめての訪問です。
この本、気になりました!


Commented by masashiw2 at 2013-06-19 21:51
はじめまして。今週末発売、売り上げにご協力いただけると幸甚です。
リアル書籍はオブジェとしても楽しんでいただけるのではないかと。
Commented by ken_kisaragi at 2013-06-21 22:12
本日アマでポチ! と思ったところ、在庫切れでおましたぜぇー
入荷楽しみにしております。
Commented by masashiw2 at 2013-06-21 22:30
アマゾン在庫切れ、一時的なものかと。
マーケットプレイスで倍の値段で出たりするという妙な現象も予想されたり。
もろもろ見込んで刷っていますので、そのうち大丈夫、適正値段でお買い物できるかと。
こちらでは東京堂本店でエログロフェアが! 面出しで並んでいます。
お手にされたら、可愛がってやってください。
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